高齢者介護のあれこれ

介護相談員の在宅介護ガイド

高齢者が骨折したときの医療費、こんなにも高いの!?

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1.高齢者の在宅生活は骨折の危険だらけ

高齢者は筋肉が衰えやすいうえで発達もしにくく、若い人並みにタンパク質を摂ってもなかなか筋肉の維持が難しいです。とある医学系の研究によりますと、若い人が1日に8gで筋肉が作られるのに対して、高齢者は24gを摂らないと筋肉の維持ができないともいいます。そのうえ高齢者は運動量の低下や、病気や薬による味覚障害(または変化)によって食欲が減退することも多いです。このような栄養や健康上の理由から、高齢者は加齢と共に足腰が弱くなり、歩行もおぼつかなくなることが多いです。

 

一見、高齢者にとっては家の外の方が危なく見えてしまうこともありますが、実は家の中こそが危ないです。歩行がおぼつかない高齢者は家の中のわずか1~2cmほどの低い段差に引っかかって転倒し、骨折することが多いです。歩くのに障害物が多い家の中でありながら家の中という安心感のために油断することも多いことでしょう。さらに、夏場に限らずに発症する高齢者の脱水と、脱水にともなうふらつきと目眩(めまい)は転倒と骨折の大きな理由の一つです。さらに高齢者は骨粗しょう症によって骨が弱くなることが多く、軽くぶつかっただけでも簡単に骨折を引き起こすので要注意です。

 

2.陽子さんの入院のケース

陽子さん(仮名・85歳)は一人暮らしの高齢者です。加齢による物忘れや腰の痛みはあったものの普段は一人で問題なく生活できていました。ところが冬場のある日、朝起きて急に目眩がひどくて家の中の1㎝にもならない段差に引っかかって転倒してしまいました。倒れた陽子さんは一人では動けず、駆け付けた娘さんによって病院に運ばれました。病院にいって分かったのですが、陽子さんが倒れた原因は脱水による目眩(めまい)でした。冬場だと油断していたために暖房の効いた部屋で脱水を起こしていたのです。

 

また陽子さんの骨折ですが、病名は『大腿骨頚部骨折』、足の付け根部分を折ってしまっていました。そのために手術を行い、しばらくは入院することになったのです。その時のかかった費用ついてまとめてみました。

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・入院期間は約45日、かかった費用は211万円!

 

手術費 約20万円
入院費 約84万円
リハビリ 約58万円
その他医療費 約8万円+雑費41万円

 

この211万円が陽子さんの実際にかかった費用(医療費+その他費用)です。もちろん、陽子さんも高齢者の医療保険を利用して医療費合計の170万円の1割である17万円のみ負担しました。この17万円は、高額療養費の払い戻しで後から約9万円が戻ってくることになるそうです。

 

また、入院中は医療費のほかに、自己負担の食費や保険でカバーしきれないベッド費用、看病や諸々の雑費が45日間で41万円もかかったと言います。何にかかったか詳しくは確認できませんでしたが、入院にはいろいろとお金がかかるものです。

 

結局、陽子さんの骨折による入院費用の自己負担合計は45日間で約49万円でした。

 

2.高齢者の骨折手術費用、実は手術費よりもリハビリ費用が高額

大腿骨骨折の手術の場合、骨の複数の部分が折れて(複雑骨折しなければ)いなければ、骨のズレを元に戻して金属製の医療器具で骨を固定(骨折合術や工骨頭置換術など)する手術が行われます。患者が入院してから手術を受けるまでの間や、手術後の回復期間(ある程度骨がくっ付くまでの間)は、当然ベッドで安静にしていなければなりません。高齢者がベッドで安静にする場合、高齢者の運動機能は急激に落ちていきます。高齢者の場合は1日の安静で身体中の筋肉の1%が落ちるといった研究報告もあり、2週間の安静で2か月以上のリハビリが必要で、4~5週間の安静で半年以上のリハビリが必要な寝たきり状態になるとも言います。

 

高齢者の骨折手術費にはかなりの費用がかかりますが、実は最も費用がかかるのは手術後のリハビリ費用です。陽子さんの場合も45日間のリハビリで58万円もの医療費を支払いました。しかし手術後の運動機能によっては退院後も一人で歩けないことも多く、リハビリ病棟に移ったりリハビリ専門病院に転院したりしてリハビリを継続することも多いです。またここで長い間、リハビリの医療費がかかってきます。

 

実は陽子さんも退院後も一人での歩行が難しく、1か月の待機期間を経てリハビリ専門病院に入院しました。リハビリ専門病院では1か月に諸々と約50万円がかかっていて、高額療養費制度などの保険制度を利用することで自己負担額は半分以下になるとのことです。しかし、それでも骨折の手術費よりもリハビリ費用が多くかかることには経済的な負担が大きい様子でした。陽子さんはリハビリ専門病院での経過をみながら在宅に一人で復帰できるか様子を見ることにしましたが、家族の方々以上に陽子さん本人の不安が大きく、退院後は老人ホームへの入居なども検討し始めています。

 

3.骨折を防いで元気な老後を送りましょう。

今まで元気に一人で暮らしていた高齢者でも骨折による手術などで急に自立した生活ができなくなります。普段からの十分な水分補給と栄養管理、適度な運動、段差の少ない住環境の整備などに気を配り、ケガをしないことがとても大事です。骨折など、ケガを防いで元気な老後を送るようにしましょう。